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この3人がやってることは少しづつ分かってきた。
訪れる来客。依頼。報告。組合。オーナーなる人物の影。同じような仲間がいること。便利屋まがいの興信所、と史緒は言ったが、その胡散臭さから、興信所まがいの便利屋のほうが表現が近いのでは? と意見すると史緒は否定しなかった。
私は最初のうち病院とアルバイト先に通い詰めで、彼らの仕事と関わることはなかった。来客のいないときは事務所に入れてもらえたので3人の仕事ぶりを観察することはできた。
史緒は所長を名乗り、外交もするようだ。年齢の割に学校へは通ってないようで、外出時以外はほとんど事務所で机に向かっている。篤志は大学生だと聞いた。けれどほとんど毎日事務所へ来ていることから、学業がどういう状況にあるかは言うまでもない。多分、私生活のなかで一番行動範囲が広いのは司で、何カ所か通っている場所があるらしい。
この3人がどういう関係で、どういう経緯でこのような仕事をしているのかは本当に謎だ。
「史緒のお父さんは、アダチグループの社長なんだ」
と、教えられたとき私は適当な相槌を打っただけだった。
しかし数日後、テレビというものを見ているときに「もしかしてただごとじゃないのかも」と気付く。
テレビCMで何度も耳にする企業なのだ。
司曰く。
「そうそれ。ついでに篤志は史緒の婚約者だよ」
「…冗談」
「じゃなくて、ほんと。と言っても史緒のお父さんの独断だけで、当人2人にまったくその気はないけど」
「そんな話、部外者に言っていいのか?」
「別に隠すような話じゃないよ。今年の初めに史緒のお父さんが正式に発表したことだから、アダチの幹部なら誰でも知ってる」
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