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 2ヶ月後。1998年3月───。
 蓮蘭々…もとい川口蘭がA.CO.に呼ばれた。
 未だにA.CO.に馴染もうとしない三高祥子を懐柔させるためだ。誰も何も言わなかったけれど、それくらいの史緒の狙いなら読める。これで総勢6人になった。
 あの蘭がよく家族と離れ日本へ来れたものだと驚きもしたが、その事情を三高祥子が知った時の修羅場はさぞ悲惨だろう、と呆れもした。
 史緒が他人の心情が読めない馬鹿だと知っていた。この時ばかりは蘭に対して呆れたのだ。
「あたし、家族は大切だけど、同じくらい史緒さんのことも好きなんです」
 史緒と蘭はかなり古くからの知り合いらしい。この2人の関係も謎だ。
「それにホラ、史緒さんが同年代の同性を近くに置きたいなんて、前代未聞じゃないですか? どんな方なのか興味あったし、お手伝いできるならすごく嬉しいですし、篤志さんとも一緒にいられるし」
 蘭は胸の前で指を組み、祈るように言った。
「本当に嬉しいんです」

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