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 段々、妙なパーティになってくる。そう思わずにはいられない。
 それを良いか悪いか評価はできないけど、順当にうるさくなってきているのは確かだ。
 それに伴い、史緒が以前より笑うようになった。
 ───そう考えたとき、愕然とした。
 「過保護なんじゃないか?」と篤志に言ったことがある。
 史緒が笑うようになった、などと考えるなんて、私も同じじゃないか。

 司と篤志、そして史緒。3人の考察。
 史緒の嫌いなものは煙草、実家、そして桜。
 煙草はやっぱりあの火傷が嫌いな理由だろうか。後の会話で、火傷について篤志と司は知らないことがわかったので、私もあまり話題にはしなかったけど。
 実家は後継問題が煩わしいのだろう。桜は「嫌な思い出しかない」と言っていた。
 その他では、祥子に対して憎まれ役を買って出ていたかと思えば、裏腹に人の心情にひどく鈍感なところがあったりする。生活能力皆無という欠点も指摘したいが、史緒本人はそれを気にしていないので弱点にはならない。あの歳で一事務所を支えられる処理能力があり、時々毒舌も吐くが外交手腕もそれなりに様になってる。
 篤志と司。篤志は史緒の相談役…というより口出し役で、仕事面でも生活面でも気に入らなければ遠慮無く意見をぶつけてくる。司は他2人が対立したときの決定票を持つ。
 ただ共通して、彼らは史緒が笑う度に安心したような表情を見せる。
 そのことに気付いてから、彼らの表情を確認する癖がついてしまった。
 結論。
 彼らは何を恐れているのだろう───。
 史緒が爆弾でも抱えているように見えるのか?
 いつ爆発するかわからない史緒を、彼らは見守っている。そんな風に思える。

「三佳が史緒と居てくれてるから安心してんだよ、俺らも」
 そう言ったのは驚いたことに篤志だった。

「史緒は気に入った人間をとことん守る性格だから。だから僕たちも、自分自身を大切にしなきゃいけない。わかるだろう?」
 これは司。


 そして私は夢を見続けている。
「三佳っ!」
 大抵、史緒に起こされる。
 目が覚めると部屋は暗くて、史緒が入ってきたときに開けっ放しにしたであろうドアから、廊下の照明がまぶしく入ってくる。私を覗き込む史緒の表情は逆光のためによく見えない。
 夏でも冬でも、夢からさめたとき私は汗を掻いていて、そして寒さを感じている。
(ああ、またか)
 そう思う。
 夢の内容はいつも同じ。呆れることに覚める場面まで同じだ。
 そして史緒も同じ。私がうなされていた夢については何も言わない。
「三佳」
「…なんだ」
 どうにか声を返すと、史緒は安心させるような笑顔を見せて言った。
「コーヒー飲まない? 私がいれるから」
 大声で起こしにきた理由としてはかなり強引で、私は思わず吹き出してしまった。
「史緒がいれるとムラがあるから嫌だ。───私がいれる」
「そう? じゃ、私のも」
 そんな会話をしているときでさえも、史緒は震える私の手を、強く握っていてくれた。

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