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▲10.別離
「もういらない、早く出ていって! 顔を見せないで、二度と来ないで!」
 和成が家を出てアダチに就職することを知らせたときのことだ。
 身体が震えるほどの怒気を以て、史緒は仁王立ちで和成を睨んだ。
 その両眼にはわずかに涙が滲んでいた。
 両のこぶしを震わせ、唇を噛み締めても、それでも毅然として視線を逸らさなかった。
「───…どうして? お父さんの所へ行くの…」

「…ごめん」

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