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 6月27日金曜日。

 朝、おそるおそる教室のドアを開けると三高祥子の姿は無かった。
 昨日あの後教室に戻ってみると祥子はすでに早退したとのこと、そして祥子が結歌は気分が悪くて保健室に行ったという事にしておいてくれたことを知った。
 そして今日、三高祥子は欠席。
「結歌ちゃん三高さんと喧嘩したんだって?」
「はぁ?」
 放課後、郁実はおもしろそうにそう尋ねてきた。それにはなんて大胆な、という意味が含まれている。
「どうして・・・」
「昨日、二人が屋上にいるのが見えたって、桔梗くんが言ってた。今日元気がなかったのはもしかしてそのせい?」
「・・・・・」
「早く仲直りしたら? 結歌ちゃんと三高さんっていいコンビだし。三高さんは自分から謝るタイプじゃないしね」
 一緒に階段を下りながら郁実はそんなことを言った。
「誰と誰がいいコンビなのよ」
「みんな言ってるよ。なんか似た者同士だって」
(──────)
 祥子と仲がいいと思われているのは前にも言われた。悪い気はしなかったが、今祥子の言動を思い返してみるとそんな生易しいものではなかったのだ。
 好意で近付いてきのではなかったわけだから。
「・・・・似てるのかな」
「本人は気づきにくいかもね。・・・じゃ、私帰るね。明日と明後日、もしかしたら電話するかもしれない。数学がさっぱりなんだよー」
「おっけー。化学は月曜までにレポート提出だからね、忘れないように」
「はいはい」
 手を振って郁実と別れると、結歌は溜め息をついて図書館へ続く渡り廊下へと歩を進めた。

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