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19.12/25(土)12時

「こんにちはー」
 史緒は青嵐を訪ねた。
「あら、いらっしゃい」
「セーラさん」
「青嵐よ。…ったく。ああ、おととい捜していた國枝は見つかったの?」
「ええ。おかげさまで」
「そう」
「セーラさん、調べて欲しいことがあるの」
「はい。なにかしら」
「鈴木という始末屋をご存じですか」
「名前と噂くらいは。面識は無いわ」
「これなんですけど」
 史緒は先ほど谷口葉子からもらってきた封筒を差し出した。内容は藤子の最後の調査依頼「始末屋・鈴木について」。青嵐は中を検めると首を傾げた。
「葉子ちゃんのところに頼んだの? それならうちは必要ないじゃない?」
「さわりだけしか調べてもらってないんです。この人の連絡先と、自宅の住所か勤務先、それとできれば最近の仕事内容を知りたいんですけど」
「はぁ。…始末屋の鈴木、ね。なんか、阿達の依頼内容とは思えないわねぇ。仕事で必要なわけじゃないんでしょ?」
「まぁ、個人的に」
「理由を訊いてもいいかしら」
 そんなことを言っても、青嵐のその質問に意味が無いことを史緒は知っていた。史緒の理由など、青嵐は興味がないはずだ。どんな軽口を利いても青嵐にとって史緒は客でしかない。やはりそのとおり、笑ってごまかしただけで、青嵐はあっさりと引いた。
「いいわ。調べてあげる。半日待てるかしら?」
「はい。お願いします」
「で、阿達はどんな情報をくれるの?」
 青嵐は金銭では動かない。『情報屋・青嵐』はバーター ──物物交換が基本。史緒はその回答を準備していた。
「そうですね。大きな情報(ネタ)があります」
「へぇ」
 出口で振り返り、史緒はそれを口にする。その後の青嵐の反応は見たくなかったので、史緒はすぐにその場を去った。
「殺し屋・國枝藤子は死にました」


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