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≪12/20≫
24.12/26(日)12時
篤志は西新宿に来ていた。
しかしアテがあったわけではない。
文隆たちのほうから警察の動きはちらほら出てきていたが犯人の手がかりはなにひとつ出ていないようだ。史緒の追跡も予想以上に困難で、手詰まりの一歩手前となっている。
葉子は青嵐の居場所を頑として吐かなかった。それをしたらこの先仕事ができない、と言っていた。しかし、場所は新宿だということ。それだけは聞き出すことができた。
史緒は藤子を殺した人物について調べているはずである。もしかしたら青嵐とまた接触するかもしれない。それにちょうど事故現場もこの近くだ。実にはならないだろうが、篤志が持つ手札はそれくらいしかなかった。
事件現場にも行ってみた。屋上へつながるフェンスは立ち入り禁止になっていた。しかし人の気配はある。1日以上経過した今も、警察が現場検証をしているようだった。
駅までの道は、日曜、そして年末だということもあって混雑している。大きな旅行カバンを持った人も見られる。帰省、もしくは旅行だろうか。いつも以上に慌ただしい空気に篤志は疲れた息を吐いた。
ふと、篤志は絶え間ない人波に目を留めた。うずくまっている人影を見つけた。歩道の端、陸橋の手すりにもたれかかるように、気分が悪いのか顔に手を当てて、立ち上がれない様子。篤志は近寄って声をかけた。
「大丈夫ですか? 具合でも?」
うずくまっているのは女性だった。篤志の声を受けて、なんでもない、というように明るい声で顔をあげた。
「あ、平気です。ありが───」
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