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30.12/27(月)22時
A.CO.の事務所に電話の音が響いた。
史緒のデスクに座っていた篤志はなにかを覚悟するように固く目を瞑る。少しの後、ゆっくりと開いて、手を伸ばし、受話器を取った。「はい」
「関谷さんいらっしゃいますか」
声はしわがれた男性のもので、名乗るより先に篤志を名指しした。
「自分ですが」
司と三佳は上の部屋で休んでいてここにはいない。事務所には篤志ひとりだけだった。
「木戸といいます。史緒さんの知人で…、あぁ、2ヶ月くらい前に一度そちらに訪問しました。確か、そのときお会いしていると思うのですが」
「…ああ。ええ、憶えています」
「今、こちらで史緒さんを保護しています。そちらでも捜しておられたのではと思い、連絡させていただきました」
「それで、今、どこに?」
「警察です」
「警察っ!?」
「申し遅れました、小職は刑事です。史緒さんは現在、取り調べを受けています。今夜中には釈放されると思うので迎えに来てもらえませんか」
「國枝さんの件ですか?」
「ご存じでしたか。それなら話が早い。そうです。史緒さんは第一発見者であることと通報者であることで事情を聞いています」
「それだけですか? 他になにか」
「ありません。けれど、史緒さんのことだ。なにもしなかったとは思えませんが、警察はそれを掴んでいません」
「そうですか。あの、史緒はどこで保護されたんでしょうか」
「ええと、実は保護というより、史緒さんから連絡がありまして。“今から出頭する”と。それが1時間前のことです」
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